2009.9.16 |
|
驚愕 |
|
武蔵野」を書いた国木田独歩の短編小説に「牛肉と馬鈴薯」という作品がある
その中で主人公が一番の願い事としていること、それは政治家になることでもない。
事業家になることでもなければ、哲学者になることでもない。
もしこの願いさえ叶えられるならば、他は何もいらないと言っているもの。
それは、どんなことにでも「ハッ!」と出来る人間になることである
(行徳哲男)
子供の頃は誰もが、毎日の新しい出来事に驚き、
知らないことに出会ってハッとした。
大人になるにつれ、「ハッ!」とすることが少なくなった。
現代は、情報も物もあふれ、この「ハッ!」とする心、
すなわち驚愕(きょうがく)する心を失っている。
食事を共にするには、驚愕の無い人とは楽しくない。
つまらなそうで、何の感動も無い人とは虚しい。
観劇や音楽や、美術鑑賞でも同じだ。
毎日の生活の中にも、ちょっとしたことに
驚きを見出すような柔らかな感性がなければ寂しい。
小さなことに驚き、大騒ぎする人生は愉快で豊かだ。
「ハッ!」とすることは
ドキドキすること
感動すること
ときめくこと
子供のような「ときめき」を失った時、驚愕もなくなる。
|
|
|